遺品を目の前にして
どなたにとっても、大切な人を亡くすというのは辛いことです。
しかし、いつまでも悲しんでいられません。
故人の冥福を祈りながら葬儀も済ませなければいけませんし、故人と付き合いのあった人にも連絡や挨拶もしなければいけません。
また、役所や行政に手続きや届け出を済ませたと思ったら、あっという間に四十九日の法要の準備に取り掛かるようになります。
遺品の整理をしなくてはいけないと思っていても遺品を目の前にすると、その量の多さにどこから手を付ければよいか悩んでしまいます。
多くの人が四十九日の法要を済ませてから整理を始めるようですが、遺族の気持ちが落ち着くまでそのままにしている場合もあるようです。
特に、決まりはなく遺族の気持ちを優先した方が良いように思います。
遺族だけで遺品整理をしたい
大切な人が今まで生きてきた証となる遺品は、なるべくならば身内で片づけたいものです。
人が生きているとさまざまな物があります。
それは、決して他人には触れてほしくないものも多くあるからです。
特に故人が女性で、しかも若いとなるとなおさらです。
女性ならではの他人の目に触れたくないものもあります。
また、高齢であっても女性ならば男性に見られたくないと思う物もあります。
そう考えると、遺族だけで遺品を整理したいと思うものです。
現実は希望通りにはいかない
しかし、現実はそんなに甘い物ではありません。
人が生活していくうえでは実に多くの物があるのです。
故人があえて原始的な生活を送っていなければ生活を便利にする色々な道具があふれているものです。
重く大きな物では、タンス、ペット、食器棚、本棚や電化製品であれば、テレビ、洗濯機、乾燥器、エアコンなどまだまだあります。
これらの重く大きな物を処分するには力仕事ができる人手が必要になります。
その他にも、テーブルやいす、炊飯器、電子レンジ、スタンド、衣類、布団などきりがありません。
それらの物を処分する物としない物に分け、処分する物は故人の住んでいた自治体のゴミの処理に従い進めていかなければいけません。
仕分けだけでも大変なのに、よくわからない自治体のゴミ処理のルールを調べ、ゴミの分別、ゴミ収集日、粗大ごみの処理に合わせて、遺品の片づけの為のスケジュールを立てなければいけません。
遺族の中には仕事で時間を作ることが出来ない場合や、遠方に住んでいて何度も来ることができない、人手が確保できないなど遺族の力だけで遺品を整理することはほとんど人が無理だと思われます。
今は遺品整理業者に依頼することが普通
昔はあまり人の移動もなく、学校を卒業しても地元で就職し親の傍で家庭を作るという事が多かったのです。
ですから、遺品の整理をする際も子供達で整理することが出来ましたし、周りには親戚も多かったので子供達で無理な事は協力してくれていました。
現在の日本は、子供は進学や就職で親元を離れ都会に行きそのままそこで家族を作るという、核家族化が進んでいます。
そのような現状では遺族だけで遺品を整理することが不可能であり、遺品整理業者に依頼することが一般的となってきました。
遺品整理業者はどのような仕事
あまり依頼することがない業種なので、どのような仕事をしてくれるのか分からない人も多いと思います。
仕事の内容は遺品を必要な物と不必要な物に仕分けし、分別します。
不必要な物はゴミとして適正に廃棄処分し、必要であれば供養もします。
遺品の中には年式がまだ新しい家電や、使用可能な物も多くあり十分リサイクルできる買い取り可能な物があるものです。
これらを買い取ってもらいその分作業費用から差し引いてもらえます。
作業が終了後は部屋の掃除をし綺麗にして遺族に立ち会ってもらいます。
部屋が原状回復が必要であれば修理、リフォームもする場合があります。
業者は遺族が遺品を整理することで悩む事を代行してくれ、負担を軽くしてくれるのです。
遺品の仕分け
業者の遺品の扱い方が一番わかるのが遺品の仕分けです。
引っ越し作業の手伝いと違い、遺品は故人が大切にしていた物や遺族の思い出が詰まった大切な品物です。
遺品でなければ、もし不注意で破損した時でも容易に購入し補う事が出来ますが、遺品は買えば済むというものではないデリケートな物です。
故人や遺族の思いを踏みにじったような粗略な扱いをされると、たとえその品物を処分する物と分かっても嫌な思いをします。
そのような扱いをしない業者を選ばなくてはいけません。
遺品の処分
遺族にとってそれは思い出のある遺品ではありますが、廃棄処分をする時はゴミの扱いとなります。
遺品には色々な種類があり、普通ゴミとして出すことができる食料品や日用用品、資源ごみの衣類や雑誌、新聞、ペットボトル、ガラス瓶など小さな物でも多く分別しなければいけません。
また、粗大ごみ対象の物では家具、家電などもあります。
特に家電は家電リサイクル法によりエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、衣類乾燥機などは定められた方法で処理しなければいけません。
後で、遺品が思わぬ場所から見つかると、嫌な思いをするだけでなく責任を問われる事にもなりかねません。
依頼する業者には家庭の廃棄物を処分できる一般廃棄物処理業の許可を持っているかを確認する必要があります。
産業廃棄物処理業の許可は工場や企業の廃棄物を処理する許可なので、遺品は対象にならず処理することが出来ないので注意が必要です。
無許可の業者を利用したことで、不法投棄や不適正処理、不適正な管理による火災などが報告されていて、場合によっては高額な処理料金を請求された事例もあるからです。
遺品の供養
また、形見分けとして置いておけないけれども、ゴミと一緒に廃棄処分するのは抵抗がある、偲びないと思う品もあります。
故人が大切にしていたコレクションや趣味の物、最後まで身近に置いていた物、人形、仏壇、神棚などがあります。
人形などの小さな物や、量が少ないものであればインターネットで調べると郵送すれば供養してお焚きあげをしてくれる寺社があり遺族ですることも可能ですが、仏壇や神棚などの大きな物はどうすればよいか悩んでしまいます。
故人が生前氏子であった神社や、菩提寺があれば相談するのも良いのですが、そういった関係の寺社がないというならば、業者が提携している寺社で供養してくれるサービスもあります。
もし、ゴミと一緒に廃棄処分することに抵抗があれば、このサービスを利用すると気持ちも落ち着き良いと思います。
遺品の買い取り
遺品の中にはまだリサイクル可能な物も多くあり、捨てるのはもったいない物も多くあります。
また、素人では買い取り可能な物なのかそうでない物かの判断はなかなか出来ないものです。
例えば、新しい物ではない家具でもブランドやメーカーによっては思わぬ値段が付く事もあります。
故人の趣味の物も遺族はがらくたと思っても、マニアにとっては価値のある物かもしれません。
遺族が分からないと思って知らせずに処分してしまう業者もいるので、きちんと知らせてくれ、知識が豊富で適正価格を提示してくれる業者を選びたいものです。
また、その業者が買い取りネットワークを持っているのならば再販可能な商品の幅が広がるので買い取りの幅が広がります。
中古品の売買には古物商の許可が必要なので、確認すると安心です。
部屋の掃除と原状回復
作業が終わった後は部屋の掃除です。
孤独死、自殺、事件に巻き込まれたなど故人が予期せぬ形で発見された場合はいくら身内といえその部屋を掃除する事は精神的にも負担が大きいものです。
そのような、特殊清掃も請け負ってくれます。
悲しい状況でなかった場合でも、人が長く生活しているとどうしても傷が付いたり、ひどい汚れが付いていまうものです。
そのような場合でも多くの現場を経験し豊富な知識で綺麗に掃除してくれるので安心して任せることができます。
また、遺族の要望があれば、原状回復の為の修理やリフォームなどもしてくれます。
特に、故人の住宅環境が賃貸住宅であった場合は、退去の問題があります。
賃貸契約にもよりますが、多くの場合はあまり時間の猶予はあまりありません。
速やかに退去することが望ましいものです。
故人の死にショックを受けているのに、遺品の整理、掃除は身体だけでなく精神的にも大きな負担です。
このような場合こそ是非業者の利用することをお勧めします。
相場はあくまでも参考
遺族だけでは無理がある遺品の整理を業者に依頼するには、どの程度の金額を考えて用意すればよいか、見当が付かず悩んでしまいます。
インターネットで、依頼する部屋の広さから調べてもその金額の幅が大きく記載されている場合が多く、判断に迷ってします。
遺品を整理するという仕事は、明確に仕事内容が決められておらず、各業者でサービスも仕事内容も違うので料金も異なります。
遺品は故人の生活や価値観で量や内容も変わり、遺族の要望も様々で一つとして同じケースというのはありません。
しかし、依頼する側にとってはどのくらいの費用がかかるのか気になるところですが、相場はあくまでも参考程度しかならないもので一つの目安と考えた方が良いです。
信頼できる遺品整理業者を選ぶ
遺品には現金や通帳、証券、貴金属、骨董品など資産価値のある物だけでなく、郵便物や住所録などもあり多くの個人情報が隠されたものです。
悪質な業者に依頼したことで、個人情報が流出してしまったり、不確かな噂が流れたりすることもありますから、信頼できる業者を選ぶ必要があります。
インターネットで業者のホームページでいくつかのポイントを押さえてみるとある程度の判断をする事ができます。
会社の概要がしっかり書かれているか。
ホームページで料金が明確化されているか。
作業の内容が分かる写真を掲載しているか。
作業に必要な許認可証を掲載しているか。
できれば、写真付きで依頼者の声が掲載されているかなどです。
また、口コミの評判やトラブルがあったか等も調べるといいでしょう。
インターネットで業者を調べてみると多くの業者があるので、どこの業者に依頼するか迷ってしまいます。
無料見積もりだからと言って、多くの見積もりを取るとかえって判断に迷う事になりますから、出来れば3社に絞る事が理想です。
最近ではホームページやメールなどから見積もりを依頼する事が可能になり便利になりましたが、遺品の整理は人との関わりが大きいのでここは電話で依頼する事をお勧めします。
電話の応対でその会社の雰囲気がわかり、丁寧で親切な応対であればスタッフの教育も行き届いていると考えられます。
無料見積を依頼する前にしておきたい事
依頼する部屋があまりにも乱雑であれば、簡単でも片付ける事をお勧めします。
いくら、見積もりのプロとはいえ判断が付きづらいほどの状態であれば大まかな見積もりになってしまい、後でトラブルの元にもなりかねません。
きちんと見積もりの金額を査定してもらうには、見積もりが出来る程度の片づけは必要です。
でないと、後で追加料金を請求される可能性も出てきます。
見積にきたスタッフに相談する
見積もりに来たスタッフには遺品整理で気になる作業の手順や遺品の処分の仕方、掃除の内容など、色々と尋ねてみる事です。
この対応で仕事に対する姿勢が分かります。
また、遺族の要望も詳しく話し、理解してもらう事でしてもらいたい作業の内容が確認でき、トラブルも回避できます。
作業の内容を理解してもらえれば、後で追加料金の発生のリスクもなくなります。
遺族の間でよく相談して
遺品を後悔なく整理する事は難しい事です。
しかし、少しでも後悔しないような形で整理する事が故人の冥福を祈る気持ちにもつながり、残された遺族のこれからの関係にも良い影響を与えます。
遺族の間で良く相談し、これからの良好な関係を続けるお手伝いとして、遺品整理業者の力を利用していただきたいものです。