実家の遺品整理で扱いに困った仏具はお焚き上げで供養する

遺品整理で扱いに困るもの

実家や祖父母の家、親戚の古い家を遺品整理をする時に必ずあるのが仏壇や仏具です。
両親や祖父母、親戚が毎日手を合わせ、先祖の霊を供養していた姿は記憶にあるはずです。
そうした姿を思いだすと大切に扱わなくてはいけないと思います。
しかし、住宅事情やお世話をする事が出来ない、継承することが出来ない等の理由で、処分を検討している人も多いようです。
難しいのは、いざ処分すると決めてもどうしてよいかわからないものです。
思いが込められた物、魂が宿るとされている物、信仰に関わった大切な物は、故人と重なり粗末には扱えません。

ゴミとして出すのは躊躇する

仏壇にはたくさんの仏教を修行し仏事を営む為に必要な器物の総称の仏具があります。
お位牌とご本尊をはじめ、線香立て、香炉、花立て、ロウソク立て、おリンはどの宗派を問わずあるものです。
その他にも、掛け軸、法名軸、過去帳、経本、木魚、経机、霊供膳、盆提灯など、まだまだあります。
これらはただの物ではありますが、今まで先祖を供養するときに使われてきたもので、いくら不要となったからと言ってゴミと一緒にして処分するような粗末な事はしたくないものです。
特に、先祖の魂が宿っていると考えられている本尊、掛け軸、位牌、遺影は毎日の供養していた対象となっていたものなので、供養をしなくてはと思います。
だからと言って、これだけの量をどのように供養するにはどうしたらいいのかと悩むものです。

仏具を供養して、先祖や故人に感謝の気持ちを

そう考えると、先祖をきちんと供養してから、処分する良い方法はないのかという事になります。
その方法として、閉眼供養にあたる御霊抜き、又は魂抜き、お焚き上げをするというものがあります。
特に、仏像や位牌・遺影などは、魂が宿っていると考えられ、魂を抜くことが必要とされています。
これに対し、仏具はその対象ではありません。
取り替え可能な物に関しては、供養せずにそのまま廃棄処分しても構わないとされています。
ですから、処分の際には特に供養が必要というわけではありません。
ただ、取り替え可能な物とは言っても、故人が毎日供養するために大切に使っていたものをそのままゴミと一緒に処分するのは抵抗があると思う人は、魂抜きをお願いする時に、同時に供養もしてもらうようにすれば、気持ちが整理することができ、心も落ち着くでしょう。
やはり、先祖様へ感謝の気持ち、故人の思いを表す意味でも、供養もした方が良いでしょう。

お焚き上げとは

寺や神社で行われるお焚き上は、一度は魂を込めたもの仏壇や、神棚、お札やお守り、故人の思いが入った遺品などを燃やすことによってその力を浄化する目的で行われます。
不要になった仏像や位牌、遺影、掛け軸、仏画などには閉眼供養を済ませます。
このように一度は魂を込めたものを鎮魂の気持ちを持ち処分する方法なのです。
こうすれば、先祖や故人に対して粗末に扱わなかったという気持ちの整理が付きすっきりした気持ちで過ごすことができます。

お焚き上げをお願いするには

では、どのようにすればお焚き上げをすればよいのでしょうか。
自分が神社の氏子であったり、菩提寺、葬儀をとり行ってくれた神社や寺などに相談すると良いです。
また、仏壇を購入した店が分かれば問い合わせるのも良いでしょう。
その時に注意したい事は、宗派が違うと受け付けてくれない場合もありますから、確認する必要があります。
インターネットで自分がいける範囲の中で受け付けてくれる寺社を捜すという方法もあります。

自分で処理する場合

買い換え可能な物といて扱われているのであれば、自分で処理してしまおうと思う人もいるでしょう。
その場合は仏具の素材で木製のもの、金属製のもの、樹脂製のもの、資源再利用可能なものによって分別する必要があります。

遺品整理をする地域の各自治体のゴミの分別方法に従って分類し、ゴミ出しルールに従って処理します。
おりんやろうそく立てなどは、真鍮製のものが多いので、リサイクルの資源再利用の対象になる場合があります。
また数多く出てくる数珠は、木製、樹脂製の場合と、石でできたものがありますので、注意が必要です。
このように分別いろいろとあり、自治体のルールに従って廃棄処分し、後で近隣住民に迷惑がかからないようにしなくてはいけません。
ごみとして処分するときに行いたい事は、自宅で清め塩をして浄化することです。
清め塩は品物を広げた新聞紙の上に置き、塩を振りかけて、そのまま新聞紙で包んで処分することで、故人の供養と考えます。

中には高価な物も

しかし、中には高価素材を使用したもの、美術的価値のあるものもあります。
特に旧家と言われる家には歴史もあり由緒ある家もあるため、仏壇も古く、本尊などは美術的価値のある場合や、金や銀を使用しているもの、数珠も水晶や翡翠などの宝石を使用しているものなどあります。
その場合、いくらもう自宅では置く事が出来ない、世話をする事が出来ないという理由でお焚き上げをしたり、廃棄することはもったいないように思います。
もし、価値のあるものかもしれないと考えれば、専門家に鑑定をしてもらうと良いでしょう。
そこで改めて価値を知り、次の対処を考えます。

買い取ってもらえるものなのか

価値のあるものであれば当然買い取ってもらい現金にしたいと思います。
しかし、中古販売店やリサイクルショップに行ってもこのような物を売っているお店はあまり見かけません。
いくら、リサイクルが常識化しているとしても、他人の先祖を供養していたものや道具を買いたいと思う人はそうはいません。
需要がなければ店側も買い取ってはくれません。
しかし、全くないわけではありません。
それが、インターネットでのオークションサイトを利用することです。
オークションサイトでは実に様々な物が出品されています。
仏壇は新品か未使用の中古品が多いのですが、それ以外は中古品でも出品されています。
そのことから、ある程度は需要があるようです。
また、海外のオークションサイトでは多くの品を扱っているようです。
海外の人は、コレクションとして購入しているようです。
海外の人からは日本の美術品や工芸品として魅力ある品物なのかもしれません。
このようなオークションサイトを使い、大切に扱ってくれる人に譲るという考えもあります。

遺品整理の煩わしさを少しでも軽くするために

しかし、遺品整理は他にもまたまだしなければいけない作業があります。
一つの事に永くかかわる事は時間を有効に使いたい人には無理な話です。
人が今まで生活していた空間を整理するのですから、こまごまとしたものだけでなく、家電や家具などの大きくて重いものがあります。
また、衛生面を考えると冷蔵庫の中にある食べ物や生もの、そのまま放置しておくと腐敗し悪臭を放ち害虫も発生する可能性のあるものはすぐに処分しなければいけません。
遺族もいつまでも作業に関わってはいられない場合もあります。
仕事で忙しく時間が思うよいに取ることができない、遠方に住んで頻繁に足を運ぶことが出来ない、病気だったり高齢のため力仕事や体力がないなど、事情は様々です。
そんな時はプロの業者に依頼することを検討しましょう。
高齢化社会や核家族化などで、自分たちではせずにプロの業者に依頼することが多くなりました。
業者は多くの現場を経験しています。
その現場は特殊清掃が必要とするような、孤独死、自殺現場、事件現場もあります。
中にはゴミ屋敷のような部屋も片付けます。
この経験が様々なお客様の要望にこたえられる基礎になっています。

遺品整理のプロを選ぶ

後悔しないためには適切に処理をしてくれる業者を選ぶことが第一です。
業者を選ぶ時にはインターネットのホームページを参考にしましょう。
ホームページを見ると、業者が今までしてきた現場の数や種類、作業内容が分かります。
作業前と作業後の写真があれば、どのような作業をしているのか想像ができます。
また、口コミも大切です。
口コミでトラブルがないか評判はどうか等を調べましょう。
葬儀の際に利用した葬儀社に相談することも良いでしょう。
そして、遺品を供養してくれる寺社と提携しているかも確認しましょう。
きちんと責任をもって作業をしてくれる業者は、供養も正しく行ってくれるはずです。
いくつか業者を選んだら多くの業者は無料出張見積をしていますから、相見積をとりましょう。
現場を見てもらい自分の要望をしっかり伝えたうえで出された費用を比べます。

残された遺族が元気に過ごすことが故人の願い

遺族にとって大切な人が亡くなる事はそれだけで悲しい事です。
なかなか、故人の思い出を忘れることができずに偲ぶ毎日でしょう。
しかし、悲しみにふけってばかりではいけません。
きちんとした形で故人の持ち物も整理しなければいけませんが、遺族の気持ちも大切です。
故人の事ばかり考えた整理より、遺族の負担が軽い方法が良策です。
現状と未来の遺族の生活を優先して、お焚き上げという形で供養し気持ちの区切りを付ける事は良い方法です。
整理後に後悔せずに、心残りのない整理がこれからの遺族の日常に影響を与えます。
残された遺族が、元気に過ごせることが故人の願いでもあります。