スマートフォンのロック解除は不可能だが若干の手はある
遺品整理時に故人のスマートフォンのロックを解除したいという場合があります。
アドレス帳をみてみたい、ラインの通信記録をみたい、ネットバンキングでのお金の入出金を知りたい、株やFXの取引状況を知りたい、口座にお金が残っていたら遺族の口座にお金を振り込ませたい、交友関係を調べたいなどさまざまなケースが想定されます。
また、故人が亡くなった機会に浮気をしていなかったかどうか動かぬ証拠をつかみたいという希望もあることでしょう。
そんなときに問題になるのはスマホのロック機能です。
今やスマートフォンは個人情報の塊です。
見られたら困る内容をスマホに記録しているのでたいていの人はロック機能を利用しています。
パスワードの入力であったり、一筆書きのパターンを入力したりして正しい入力をしなければスマホのロック解除をできないようにしています。
結論から申し上げるとスマートフォンのロック解除は不可能です。
何らかのソフトを使いさえすれば簡単にロックの解除ができると思うかもしれませんが、それではロックの意味がありません。
しかし、あきらめてはいけません。
通常では不可能であってもロックを解除するための若干の方法があります。
データを消すのが目的ならば物理的に破壊するのが一番
故人のスマホのロックを解除する目的がデータの内容をみたいのではなくて、データを消すことであれば、初期化という方法があります。
しかし、初期化よりも簡単なのは物理的にスマホを破壊してしまうことです。
怪我をしないように注意しながらハンマーなどで叩き壊してしまえばデータの復元は不可能になります。
その後不燃物として処分してしまえばよいでしょう。
物理的な破壊はデータ保護のための一番確実な方法です。
スマホのロック方法のいろいろ-PIN
スマホのロックにはさまざまな方法があります。
たとえばPINと言う数ケタの数字で認証する方法です。
解除するためには故人が使っていたPINの数字を知る必要があります。
自分の誕生日や家族の誕生日、車のナンバー、あるいは1234という単純な連続した数字か7777というぞろ目の数字が使われることが多いです。
このような数字は使い回しにしていることが多いので、故人の使っていたパソコンなどやキャッシュカードの暗証番号などから推測するのがいいでしょう。
どれか一つでも分かればいいので故人のノートや手帳などに書いていないか調べてみるのがいいでしょう。
スマホのロック方法のいろいろ-パスワード
パスワード認証もPIN認証とほぼ同じようなロック方法です。
これは数字だけではなく英字や記号なども組み合わせて作った文字列を入力することによりロックを解除できます。
パスワードも使い回しをしていることが多いので故人のパソコンやメモ帳、手帳などを調べてみるのがいいでしょう。
最近のスマホを対象としたパスワードの解析ツールはいい結果を得られるものは市場にないのですが、パソコンであったり、古い携帯電話を対象にしたものであれば使えるものがあります。
故人がかつて使っていた古い携帯電話があれば、それを解析することにより、使い回しのパスワードが分かる可能性は捨てきれないでしょう。
スマホのロック方法のいろいろ-指紋認証
iPhoneでは指紋認証によるロック方法があります。
指紋は万人不同、終生不変という特徴があります。
つまり、指紋は一人ひとり皆違うものであるが、その人個人の指紋は生まれたときから死ぬまで一生変わることがないというものです。
犯罪捜査上、動かぬ証拠としても昔から使われていることで有名ですね。
指紋認証はこのような特性があるために故人の指がなければどうしようもありません。
そこで個人がお亡くなりになったら荼毘にふされる前に個人の指を使ってスマホのロック解除を試みる必要があります。
たいていの場合は左手か右手の人指し指を登録している場合が多いのですが、実際どの指を登録しているかは分からないので一本一本試してみるしかありません。
故人がお亡くなりになってから火葬されるまでのスピード勝負になります。
スマホのロック方法のいろいろ、パターンによる認証
9つの点のうち少なくとも4つをひと筆書きで結ぶパターンによる認証です。
複雑な入力が必要無く、パターンを知っている人にとっては簡単に解除できる上、パターンを知らない人にとって解除するのが難しいという人気のある認証方法になります。
複雑なひと筆書きをしていることはあまりありませんので、故人が無くなる前に後ろからそっと盗み見をしていればパターンを知ることは簡単だったかもしれません。
スマホの状態が良ければ画面に指の脂が大量についているところを調べて、パターンを推測することはできるでしょう。
故人がどのようなパターンを使っていたか遺族の中で知っている人がいないか問い合わせてみるのもよいでしょう。
リカバリーモードからの解除はデータまで消去されてしまう
Android端末などリカバリーモードから端末を初期化する方法もあります。
この方法ではロックは解除されますが、工場出荷時の状態に戻ってしまいます。
つまり、スマホに記録されていた写真や動画、アプリのデータなどはすべて消えてしまうのです。
故人の思い出の品としてスマホを形見として使いたいという人にとってはこのような方法でスマホを使えるようにするという選択肢もあると思います。
また、物理的な破壊によってデータを読みだせないようにするよりもリカバリーモードからのスマホの初期化の方がスマートです。
リサイクルとしてスマホを古物屋に売りたいという人にはこちらのやり方がお勧めになります。
データを消さずにAndroid端末のロックを解除する方法はある
それではデータを消さずにスマホのロックを解除する方法がないかというとある条件が整えばあるという答えになります。
Android端末でデバイスに登録しているGoogleアカウントとパスワードが分かるかどうかがカギになります。
他にも細かい条件がありますが、Googleアカウントとパスワードを知ることによりAndroid端末のロック解除が可能になります。
故人のパソコンを調べてみるとGoogleアカウントを使っている痕跡があるかどうかが分かります。
パスワードは自動で入る設定にしていることが多いのでパソコンでのログインはできることが多いようです。
Android端末のロック解除の方法 その1
それでは具体的にパソコンを使ってロックを解除する方法を説明します。
Googleアカウントとパスワードを調べる方法については、アカウントやパスワードは使い回していることが多いので他の方法で調べた他のアカウントのパスワードから推測します。
スマホのロックは破ることはできなくても、パソコンで使い回しているパスワードなどは調べる方法があるのでそこから手繰っていくのがいいでしょう。
Android端末のロック解除の方法 その2
ここではGoogleアカウントとパスワードが分かっているものとして説明します。
パソコンのブラウザから、Androidデバイスマネージャーにログインしてください。
Androidデバイスマネージャーにログインすると、そのGoogleアカウントが登録しているAndroidデバイスが表示されます。
故人のスマホが表示されていたらそれを選択し新しいパスワードを設定します。
この作業によりスマホでも新しく設定したパスワードでロックを解除することができるのようになります。
条件としてはAndroidデバイスの電源が入っており、モバイルネットワークかWi-Fiで通信が可能なことが挙げられます。
またデフォルトではほとんどそうなっているのですが、Androidデバイスマネージャーのセキュリティの項目の一つである「リモートでのロックとデータ消去を許可する」がオンになっていることも条件です。
データのバックアップを探そう
故人が注意深い人でスマホが壊れたときの用心でバックアップをとっている場合があります。
必ずしもロック解除ができなくてもデータの内容だけが欲しい場合にはそのようなバックアップを探すのがいいかもしれません。
故人のパソコンを解析することによりバックアップについても分かることがあるかもしれません。
故人の自宅に置いているパソコンだけではなく、会社で使っていたパソコンにヒントが隠されているかもしれませんので遺族の意向として故人が勤めていた会社に問い合わせるのも一つの方法になります。
故人の遺品の整理にあたって
遺品整理に当たってスマホのロックの解除の方法を見て来ました。
実際の現場では、スマホのロックを解除して欲しいという要望は浮気調査などを専門にしているいわゆる探偵事務所に依頼している人が多いようです。
しかし、探偵事務所や公的な捜査機関であっても故人に関して何の材料や予備知識がなければロックを破ることは難しいでしょう。
故人の遺品を整理するに当たってノートや日記帳、備忘録などを見る機会があると思います。
そこに暗号のように書かれている数字などがスマホのロックを解除する番号になっているかもしれません。
遺品整理の機会に日記帳などを丹念に調べてみるのがスマホのロックを解除する早道と言えるでしょう。