神道とは
神道は、日本固有の様々な神様を信仰する多神教の事で、その歴史は太古の日本から信仰が行われてきた固有の文化に起源しており、日本人の自然観と先祖崇拝の念が中核をなしているものです。
日本人は古くから、自然全てには神が宿ると考えられていました。
全てのものは神様によって生み出されたものなので、自然だけでなく人間も元をたどれば全ての神々に通じていると考えられています。
神道の代表的な神社としては、出雲大社・伊勢神宮などが有名で別格であります。
しかし、日本で行われる葬儀の多くは仏式ですが、仏教徒であっても、私たちの生活の中には昔から慣習として神社に関わる儀式もあり、それが初詣や結婚式、七五三などがあります。
神道の葬儀は神葬祭
日本固有の宗教である神道の葬儀は神葬祭といいます。
仏教伝来以降、急速に仏式のものが普及しはじめ、江戸時代になると、キリシタン対策のための寺請制度または檀家制度という、人々は必ずどこかの寺に所属しなければいけない制度により仏式の葬儀が強制されました。
これは、たとえ神社を司る神職でも寺に属さなければいけなかったのです。
明治維新の後には自葬祭禁止の布告により檀家制度が廃止され、神葬祭を行う事が可能となりましたが、全ての神職に開かれたのは戦後のことでした。
神葬祭には、もともとは日本古来の自然崇拝・祖先崇拝を基調として自然発生的に生まれた民俗信仰なので、全国的に統一された祭式はありません。
ですから、各地域によって葬祭を行う神社、神職である斎主によって、異なった祭式となります。
多くの流れは仏式の通夜にあたる通夜祭および遷霊祭、仏式の葬儀または告別式にあたる葬場祭、火葬祭、埋葬祭、最後は帰家祭および直会でこれは、火葬・埋葬を終えて自宅へ戻り、神職のお祓いを受けて家の門戸に塩をまき、霊前に終了したことを報告し、この後、直会の葬儀でお世話になった神職、世話役の労に感謝する宴を行い、葬儀に関する儀式は終了します。
これより後は、御霊祭が行われます。
死後の考え方
仏教の考えは故人や先祖を供養するというものですが、「人はみな神の子であり、神のはからいによって母の胎内に宿り、この世に生まれ、この世での役割を終えると神々の住まう世界へ帰り、子孫たちを見守る」とし、故人や先祖は守護神となり、残された家族や子孫を守り続けていくと考えられています。
遺品整理のタイミング
遺品を整理するタイミングは難しいものです。
葬儀を無事、執り行って一安心と思ったら、実は色々な届け出や手続きがあり、多忙な毎日を送らなければいけません。
そればかりか、親しい、大切な人を亡くしたのだから精神的なダメージや心労もあります。
気持ちの整理が付いてからと思い人もいらっしゃいますが、早く気持ちを切り替えて新しく出発したいと思う人もおられます。
そのように、少しでも早く片付けたいからと言ってすぐとはいきません。
仏教の葬儀を行った場合の遺品を整理するのは、没後49日以降というのが目安のようです。
仏教の法要には、近親者の没後49日間を喪中として故人の冥福を祈るという期間になり、 喪中はできる限り外交的な行動を控えるのが一般的で、遺品を整理するなら、喪中明けの49日以降に行うのが良いとされいます。
神道では近親者の没後50日は忌中という期間です。
この期間は故人を偲んで生活を行うので、神葬祭で葬儀を行った場合は遺品の整理を始めるのは、没後50日以降から始めるというのが良いでしょう。
しかしこれはあくまでも目安であり、故人の住宅が賃貸の場合には、一般的には早く遺品整理を行うことも必要です。
それは、故人が賃貸住宅の場合には、早く遺品の整理を行わないとその期間は賃貸料が発生してしまうからです。
遺族だけで遺品整理をする場合
高齢化社会や核家族、独居老人などの社会的背景により、業者に遺品の整理を依頼したいという遺族が増えてきてはいますが、費用の事や故人の思いから、遺族たちで遺品の整理を行うというのも多いです。
業者に依頼しなければ、その分費用は抑えられますし、納得したうえで遺品の整理をする事が出来るので、作業後の後悔も少ないはずです。
しかし、故人が生前から断捨離などを行い終活をしていてくれていたならば別ですが、人が生活していると物があふれるほど多くあります。
特に故人が高齢であれば、物を大切にし捨てずに取っておく、もったいない精神で大量に物があります。
家具や家電などの思いものもありますし、腐敗して悪臭を放ち害虫が発生してしまった生ものや生ごみなどもあります。
故人が長年生活していたものはそれだけ物が蓄積されている事なのです。
遺族の手が多くあるか、作業を手伝ってくれる人を確保できるのであれば別ですが、相当大変な作業と覚悟が必要です。
労力だけでなく、時間も必要です。
一気に片付けようとせずに、コツコツと時間をかけて作業をするほうが良いでしょう。
しかし、故人の住居が賃貸であればそうはいきません。
その点も良く考慮して遺族間で話し合いましょう。
遺品と不用品
どこにでもあるような品でも、遺族にとっては大切な思い出の品であるものなど、残しておきたいと感じるものは様々です。
また、遺族にはどうでもよいものだとしても、もしかすると故人にとっては大切な品かもしれないと思うと、故人にたずねることもできず迷ってしまいます。
しかし、悩んでばかりもいられません。
形見として残すもの、不用品として処分するもの、後でもう一度検討するものに分けて手際よく選別作業をする事が、時間を効率よく使う事からも大切です。
片づけをしていて、まだ使えるものが出てきます。
その場合はリサイクルショップや不用品買取業者に買い取ってもらえる可能性があるので、処分せずに問い合わせてみましょう。
気をつけたいゴミ出しのルール
不用品はゴミとして処分することになります。
その場合、故人が住んでいた地域の自治体のゴミ出しルールに従って処理をしなければいけません。
故人と同じ地域に住んでいる場合は、ゴミ出しのルールの事で悩む事はないかもしれませんが、地域が違うと全くルールが違う事があり戸惑ってしまいます。
しかし、間違った出し方をすれば近隣住民に迷惑をかけ、故人を汚すことにもなるので、もきちんとルールを守りゴミ出しをしなければいけません。
ゴミを出す前に、地域のゴミ出しの分別方法、ゴミ収集日、粗大ごみの出し方などを役所などで確認するようにしましょう。
遺品の供養
故人の愛着があった品や思い出の品はすべて置いておきたいものです。
例えば、写真、日記、手紙など直接故人を思い出すものは特別です。
しかし、すべての物を保管することは不可能です。
そのような品でも、ゴミとして廃棄しなければいけないのですが、そうすることが忍びないという場合もあります。
その時は、別の形で処分することを考えましょう。
その方法の一つがお焚き上げです。
お焚き上げは、魂が宿るとされているものにこれまでの礼を尽くし、火の神の力で浄化し天界へ還す意味があります。
遺品の中に神棚とお札があるはずです。
神棚やお札は神社に持っていき、お焚き上げをしてもらいます。
神棚には神様が宿っているものですから、魂入れが行われているものなので、宿った魂を抜いてからお焚き上げをします。
神社には魂を抜く儀式をお願いしなければいけません。
故人が氏子だった神社や付き合いのあった神社に神棚やお札といっしょに遺品もお焚きあげしてくれるよう相談すると良いでしょう。
遺品整理業者の利用
故人が一人暮らしなどで遺品が少なければ良いのですが、整理をスムーズに進めるには、遺族だけの力では限界があります。
その場合は、遺族で話し合い遺品整理業者を利用することの検討をお勧めします。
故人の思い入れが強すぎて、なかなか遺品の整理が出来ずに時間ばかりが経つ事で精神的な負担が大きくなる場合もあります。
業者に依頼することで、そのような精神的負担を経験することができます。
力の弱い女性や高齢者には、家具や家電の重い物を移動する力仕事からも解放されます。
手間のかかる地域のゴミ出しも、ルールに沿って処理してくれます。
気になる遺品の供養やお焚きあげも相談することができます。
このように、業者を利用することは遺族の整理にかかる負担を軽減してくれるのです。
遺品整理業者を選ぶポイント
業者を選ぶ時は相見積をとりましょう。
多くの業者が無料見積を行っているので、費用の金額や作業内容を比較することが大切です。
営業年数も重要な判断の一つになります。
評判が悪い業者は永く営業をする事ができません。
営業年数が長いという事はそれだけきちんとした作業と適正な料金という事なので信頼の証とも言えます。
できれば遺品整理の作業には立ち合いたいもの
業者が遺品の整理作業をする時は、作業開始前と作業終了後に立ち合う事が基本ですが、トラブルを避けるためにもなるべく作業には立ち合いたいものです。
遺品と不用品の選別は遺族でしか分かりません。
作業員は多くの現場を経験していますから、ある程度は判断することができますが本当にそうかというと難しいものです。
宗派は違っても故人を偲ぶ気持ちは同じ
仏教や神道、キリスト教などさまざま宗派があります。
また、日本の仏教には数多くの様々な宗派があり十八宗と呼ばれ、一般的によく知られている天台宗・真言宗・浄土宗・臨済宗・曹洞宗・浄土真宗・日蓮宗等の他にも多くの宗派があります。
キリスト教でもカトリックとプロテスタントとあり、それぞれ違った考えがありますが、共通している事は故人を偲ぶ気持ちです。
この気持ちは宗派、慣習、国が違っても同じです。
故人を大切に思い、残された遺族がこれからも故人を思いながら穏やかに暮らせるようにする方法の一つが遺品整理だと考えます。