遺品整理で処分し難い物
遺品整理をしていて悩む事は、どれを残し、どれを処分すれば一番良いのだろうかという事でしょう。
現金や預金通帳、株式証券、貴金属、骨董品、美術品など高価で資産価値のあるものは悩みませんが、他人が見ても価値が分からないようなものがなかなか決められないのです。
遺族にとって、一つ一つが故人との思い出があり、出来れば全ての遺品を残したいと思うものです。
しかし、保管場所も限られているのでそのような事は出来ません。
そうは分かっていても、遺品を手に取ると処分する事に躊躇してしまうものです。
特に故人が愛用していた物、趣味で集めていた物、大切にしていた物などはゴミと一緒に処分する事には抵抗を感じます。
人形を供養するには
その中でも、人形は悩むところです。
故人が大切にしていた人形ならば魂が宿っているように思え、日本人形や市松人形でなくても、それが普通のぬいぐるみでもゴミと一緒に処分する事には抵抗を感じます。
故人が大切にしていたのであれば、一緒に棺に入れる事を考えますが、今は素材によってはご遺骨を変色にしてしまう、拾骨の障害になる、火葬に時間がかかるなどで無理な場合もあります。
しかし、人は昔から人形や埴輪などの人の形をした物を一緒に葬るという習慣もあります。
また、関西を中心とした友人形という習慣があり、友引きの日に葬儀を出す時に棺に人形を入れます。
人形には特別な思いがあるもので、処分には困ってしまいます
そこで人形を処分しなければならない時は、人形供養を行います。
例えば一般社団法人日本人形協会では、人形感謝供養代行サービスを受けつけています。
これは、処分することになった人形を引き取り、毎年10月に東京大神宮で人形感謝祭を開催していて、人形に感謝をしているのです。
付き合いのある寺社に相談
人形やぬいぐるみだけでなく、日記、手帳、写真、手紙なども処分するには躊躇するものです。
これらのように、小さな物で段ボールに入れる事が出来る量で送る事が可能な物は、読経やお焚き上げをしてくれる寺社もあります。
遺品を受け付けてくれる寺社は、インターネットで調べるとすぐに分かります。
自宅から近い寺社を探し、できれば寺社に足を運び読経やお焚き上げに立ち会いたいものです。
故人が氏子として付き合いのある寺社や、菩提寺や葬儀を執り行った寺にも尋ねると良いでしょう。
お焚き上げとは
お焚き上げの由来は、神社の庭で庭燎を焚くことと、仏教の護摩を焚くことが結びつき、お焚き上げとよく聞きますがどういうものかというとなかなか説明ができないものです。
を天に送り出す行事となったのが、お焚き上げの由来といわれています。
お焚き上げは、神事では火の神の力で天界へ還す、仏事では思いが込められ物には魂が宿るとされているため、今までの礼を尽くし浄化によって天界へ還すという意味です。
つまり、お焚き上げは遺品を火によって浄化し、天へ還す行事なのです。
日本人は大切にしていた物、歴史ある物には生命や魂が宿るという文化がお焚き上げを必要とし、多く行われてきたのでしょう。
お焚き上げをしてもらう時に注意したい事
お焚き上げをしてくれるところは、神社、寺ですが、今では民間業者も行っています。
対象のものは、神棚、仏壇・仏具、数珠、位牌、お守り、お札、人形のほかにも写真、手紙などのような故人が大切にしていた遺品、魂が込められる物などもお焚き上げをします。
お焚き上げをお願いする時には注意したい事があります。
一つは、なんでもお焚き上げをしてくれるとは限らないという事です。
あまりにも大きな物や、環境問題の配慮からプラスチックやビニールなどを含む物、燃えない物などは出来ない場合があります。
あとは、宗教に関わるものです。
最近の寺では宗派が違っていても受け付けてくれる場合はありますが、宗派が違うと断られる事があります。
神社では祀られている神様によっては断れることもあり、地域の風習やしきたりも考慮する必要があります。
基本的には神社では神棚やお札を、寺では仏壇やお守り、仏具などです。
このように宗教によって供養や処分の仕方が違い、決められた方法がありますから、家の宗教や故人の信仰を確認する事が大切です。
古い家には必ずある
地方の古い家には、旧家でなくても仏壇や神棚があるものです。
しかし、子供も色々な事情で処分しなくてはいけない場合が多いのです。
例えばマンションや集合住宅などの住宅事情から、大きな仏壇や神棚を置く事が出来ない、誰もお世話をする事が出来ないなどがあります。
その場合、どう扱っていいか迷うのが仏壇や神棚です。
ゴミと一緒に捨ててしまうのは、罰があたりそうで気がひけます。
宗教関係の遺品整理をする場合は、誰が引き取るのか、処分の仕方などを親せきや子供たちでよく話し合う事が大切です。
仏壇を整理するには
仏壇は毎日、ご先祖や故人が手を合わせ祈り、お世話をしてきたものですから、多くの人の魂が入っているように思い粗略には扱えないものです。
仏壇を購入した仏具店が分かれば、相談してみるのが良いでしょう。
また、菩提寺がわかれば尋ねてみましょう。
仏壇には完成の際に開眼法要、または入魂式、魂入れが行われている場合があり、処分するときには閉眼法要または、閉眼供養という仏壇から仏様の魂を抜く法要を行う必要があります。
仏教には多くの宗派があり、それぞれ仏壇・仏具に関しては対処は異なるので、実家や故人の宗派を確認し注意をしてください。
神棚への対処
実家が氏子をしている神社があれば、その神社に相談します。
また、実家の近くに神社があれば相談してみるのも良いです。
多くの場合、神棚を神社に運び、お焚き上げをしてもらう事が良い方法です。
お焚き上げをする前にしてもらわなければいけないことがあります。
それは、神棚が魂入れを行われていて神様が宿っているものです。
ですから、お焚き上げを行う前には必ず、宿った魂を抜く儀式を忘れてはいけません。
また、旧家などで神棚が大きすぎて運ぶことが困難だという場合もあります。
その場合は中に入っている神札を取り出してお焚き上げを行います。
神棚の本体はお焚き上げをせずにごみとして処分しますが、信仰の事ですから、遺族と話し合って決めることが重要です。
お札とお守りの処分方法
意外と多くあるのが、お札とお守りです。
特にお守りは旅行先で観光の時に購入することが多いものです。
しかし、もともとお札やお守りの効力は1年または長くても3年と言われています。
この期間を過ぎたお札やお守りはいただいた神社や寺で新しいものをいただくものです。
初詣の時期になると、多くの神社やお寺でお焚き上げしたいものを返納する場所を用意しています。
多くの神社や寺では他でいただいたお札やお守りも受け付けているものですが、年の為確認するとよいでしょう。
原則は、いただいた神社や寺に返納するのが基本です。
できれば、いただいたお札やお守りの神社や寺を確認し、返納したいものです。
なかには郵便などで受け付けてくれる寺社もありますから確認してみましょう。
数珠の処分方法
数珠は信仰深い仏教徒でなくても、多くの人が持っているものでしょう。
念ずる、念を込めた珠ということから念珠ともいわれます。
できれば、遺族に形見として残してもらいたいものかもしれません。
しかし処分すると決めたのならば、それだけ故人の念がこもっているものなので、寺でお焚き上げをしてもらう事が良いかもしれません。
しかし、なかには珠の素材が高価な水晶、紫水晶、サンゴ、翡翠などの宝石を使用している場合もありますから、確認することをお勧めします。
キリスト教の場合は
日本には仏教徒が多いので、故人がキリスト教徒であったならばどう対処してよいか悩む物です。
しかし、世界全体でみると、宗教の中ではキリスト教徒の割合は非常に高く、世界の三大宗教と言われているのです。
最近では、ミッション系の中学、高校、大学とあり日本でもキリスト教とは増えてきました。
ですから、無縁なことではなくいつキリスト教関係の遺品を整理しなければいけなくなるかわかりません。
キリスト教とは仏教とは違う考え方なのでよく把握しないと、故人を傷つけることになるので注意が必要です。
キリスト教に関係ある物として聖品または聖具として、イエス・キリストや聖母マリアの像・絵、十字架、ロザリオ、聖人・聖女が彫られたメダルのメダイがあります。
まず、寺社に関係する物は神や魂が宿るものと考えられますが、キリスト教では聖品・聖具はお祈りをするための道具であり、それ自体に神が宿っているとは考えていないのです。
ですから、破損したり、要らなくなったりすれば、そのまま廃棄処分するのが普通です。
仏教徒の感覚として、不要になった聖品・聖具は教会に持って行きたくなりますが、そのような習慣も決まりもないので持って行かないようにします。
もし、処分することに抵抗があれば、知人のキリスト教徒にもらってもらう事がよいかもしれません。
聖品売買という、最も神を冒涜する行為があります。
それは教会が、祝別された聖品・聖具を他人に譲る場合、代わりに金品を受け取ることをキリスト教では禁じているのです。
つい、お礼をしたくなりますが気を付けなければいけません。
また、キリスト教も仏教と同じように多くの宗派がありますから、確認する必要があります。
燃やす事が出来ない物はお焚き上げができないのか
最近では環境問題の配慮からお焚き上げが出来ない遺品もありますが、その場合でもお焚き上げをしてもらいたいものもあります。
燃やすことが出来ない物は、読経や魂抜きを行い、故人の魂がこめられたお札を代わりにお焚き上げをするという方法で行います。
読経や魂抜きをした遺品は、適正に処分されますので安心して良いのです。
業者でお焚き上げをしてくれる
しかし、これらを遺族が自ら手配し処理を行う事はなかなか難しいものがあります。
仕事が忙しくて時間がとれず、遺品整理が精いっぱいでお焚きあげの手配まで出来ないというケースが多いのです。
けれども、故人の思い出がある遺品をゴミと一緒に処分することも避けたい事です。
そのような場合は業者が代行してくれるサービスがあります。
提携寺院により読経をし、お焚き上げもしてくれます。
遺族の希望で故人が使っていた布団やベットなど大きな物でも対応してくれるので、相談することをお勧めします。
遺族が出来ない遺品処分は遺品整理業者に依頼して、負担を軽くすることが大切です。
後悔がない遺品整理を
大切な身内がなくなると、なかなか気持ちの整理が付かず苦しいものです。
しかし、いつまでもそのままにしておくわけにもいかず、遺品整理をするようになります。
頭では、もう誰も使う事がないものなので処分しなければいけないと思っていても、いざ処分となると躊躇してしまいます。
故人への愛情が深い分遺品にも愛情が注がれるものです。
処分することに抵抗があるものでも、お焚き上げをする事で、故人の供養になるだけでなく、遺族の気持ちの整理もつき、心穏やかになるはずです。
遺族でお焚き上げの手続きが出来ない場合は、業者に依頼してでも行う事が良い方法です。
遺族にはそれぞれの事情があり要望も様々ですが、業者は多くのケースを経験しているので、遺族の希望にそった遺品処分をしてくれるはずです。
このように多くの経験と実績を持った業者に依頼して後悔のない遺品処分をしたいものです。